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「幸せになりたい」と願う人ほど、仕事や勉強に失敗する!? 〜2025年最新論文が明かした「幸福追求」という脳への負荷〜

はじめに

物が不自由なくなってきたこのご時世、物よりも内面的価値(幸福度やウェルビーイング)が重視されるようになってきました。

これまで、幸福度と関連する項目や、それらの影響度を記事にしてきました。

喫煙は不幸になる!? 幸福度と関係する因子を網羅的に検証した結果

幸福度が上がる考え方!幸せはお金よりも「自分で決める」が大事! (論文要約)

幸福度について理解し、より良い人生を歩むため行動や意識を変えることは重要ですが、過度な幸せの追求はむしろ不幸になってしまうことが知られています。今回は、そのメカニズムについて記された論文を解説していきます。

本記事は下記論文の紹介記事になります。

KIM, Aekyoung; MAGLIO, Sam J. Happiness depletes me: Seeking happiness impairs limited resources and self‐regulation. Applied Psychology: Health and Well-Being. 2025, vol. 17, no. 1, p. e70000.

結論

結論

幸福を求めると「自分を制御する力」を消費してしまい、仕事や勉強の質が下がってしまうようです。

なるべく幸せは追い求めるより「感じる」ようにしましょう。

 

また、幸福度に影響する因子を学び自分の行動を変え、その後は幸福追求について考えることをやめた方がいいかもしれません。

学んだことで防御力が上がり、行動は変えたことで幸福へ近づき、幸福追求をやめることで心理リソースの消費を防げるでしょう。

内容紹介

この論文では、まず日常的に幸福を追い求めている人は、どれくらい自己制御に失敗しているかをアンケート調査しました。

・幸福追求の傾向

「自分にとって幸福は最も重要な目標の一つだ」「今この瞬間、幸せでないなら人生に意味がない」といった質問にどれくらい同意するかを数値化

・日常の自己制御の失敗

日常生活における「衝動買い」「ジャンクフードのドカ食い」「やるべきことの後回し」「感情的な爆発」などの頻度を回答

 

その結果、幸福を追求する傾向のある人は、明確に日常的なセルフコントロール(誘惑に勝つ、感情を抑えるなど)に失敗しているということが判明しました。

r = 0.35, p <0 .001

 

幸福追求型の人はセルフコントロールが弱いということがわかりましたが、これが幸福追求による心理的リソース消費によるものかを確かめるため、この論文では、参加者を以下の2つのグループにランダムに割り当て、実験を行いました。

  • 幸福追求群: 「これから見る動画を見て、できるだけ幸せな気持ちになるように努力してください」と指示。

  • 対照群: 「動画を見て、自然に反応してください(または、ただ集中して見てください)」と指示。

その後、両グループに「集中力を要するパズル」や「感情抑制テスト」など、幸福追求とは無関係な自己制御が必要なタスクを行わせ、その成績を比較しました。

これで、幸福追求群のタスク遂行が弱っていれば、幸福追求には心理的リソースを消費してしまうことが証明されます。

 

各タスクの結果詳細は下述の通り。

 

1.チョコレートの消費量(誘惑への耐性)

まず、自己の制御の一つ、誘惑への耐性を見るため、目の前のチョコレートをどれだけ食べてしまったかを計測しました。

その結果、幸福追求をさせた群では優位にチョコレートを食べてしまった量が多くなりました

グループ チョコレート消費量の平均値 (M)
幸福追求群 23.15 g
そうでない群 17.82 g

 

2.解けないパズルへの取り組み時間(粘り強さ)

続いて、困難なパズルにどれくらい挑戦し続けたか(粘り強さ)を計測しました。

その結果、幸福を追求した群では、もう一方の群よりも約92秒(24%以上)も早くパズルを諦めてしまいました

グループ パズルに挑戦し続けた時間の平均値 (M)
幸福追求群 294.12 秒 (約4.9分)
そうでない群 386.45 秒 (約6.4分)

 

以上の結果より、

日常的に幸福を意識している人は自己制御不足による失敗が多くなり、それは幸福追求によって心理的リソースを多く消費してしまうことによるものだと考えられます。

 

 

 

この幸福追求による心理リソースの消費は、他の行動と比べてどのくらい大きいものか比較をしてみました。

直接的な誘惑の我慢よりは影響度は小さいものの、感情を意識的にコントロールするよりも幸福追求の方が大きい影響度であることがわかりました。

負荷の種類(最初のタスク) 持続力・我慢強さの低下率 心理学的な効果量 出典・研究チーム 特徴・脳内での発生ベース
直接的な誘惑の我慢(空腹でクッキーを耐える) 約 56% 減少 d = 1.12(極大) Baumeister et al. (1998) 本能的な欲求(食欲)を力づくで抑え込むため、全エネルギーを最優先で一気に消費する最高レベルの負荷。
幸福の追求(楽しもうと努力する) 約 24% 減少 d = 0.67(大) Kim & Maglio (2025) 「今幸せか?」という自己監視(メタ認知)が裏で超高速マルチタスクを走らせるため、自爆型でリソースを無駄食いする。
感情のコントロール(映画での涙・笑いの抑制) 約 22% 減少 d = 0.52(中) Muraven et al. (1998) 湧き上がる感情にブレーキをかける(または大げさに演じる)ため、前頭葉のエネルギーを明確にすり減らす。
肉体的な疲労(激しいサイクリングなど) ほぼ減少なし(数%程度) 微小、有意差なし Segal et al. など 筋肉や神経は疲弊するが、脳の司令塔(前頭葉)の「意志の力」は独立しているため、次の頭脳戦にはほぼ響かない。

最後に

幸福に生きるための行動や意識付けは大事ですが、ずっと意識し続けて「ハマり過ぎないように」しましょう。

 

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