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誰でもできるストレスの解消方法一覧!考え方や対処法、心のケアまで!

はじめに

ストレスにまみれた現代社会で生きる我々にとって、ストレスにどう対応するのかは非常に重要な問題です。今回は国が推奨するストレスへの対応法や科学的にストレス軽減効果が確認されている行動を中心に紹介します。

 

結論

結論

①問題をどうするのか、②問題をどう認識するのか、③心のケアをどうするのか

の3種類に分類されるストレスに対する対処法一覧はコチラ!

ストレス低減のために自分が取り入れやすい考え方や行動を導入してみてはいかがでしょうか。

結果

1 問題をどうするのか

こちらはここの問題によって対応が全く変わるので、データがあるわけではありません。問題そのものにどう対応するのかを説明します。

1-1 問題解決

これがいわゆる根本解決になります。例えばどうしてもストレスがかかる特定の業務がある場合、「その業務だけ受けないようにする」など直接的にストレッサーを取り除く方法です。すべてのストレス事象で出来るわけではありませんが、とても有効な策ですね。

 

1-2 環境を変える

例えば上司がストレッサーだった場合、相手を変えるのでなく、関わらないように「部署異動する」や「転職する」など環境を変えてしまう対処法です。ストレッサーが人間の場合、多くのケースで相手を変えるのは難しいですので、環境を変えるのが主な対処法となるでしょう。

 

1-3 考えない

ストレッサーがいて「ストレス事象を考えてしまう」からストレスがどんどん溜まってしまうのであって、考えなければストレスは溜まりにくいでしょう。他のことに熱中して、ストレス事象を考えないのも有効な対処法です。とはいえ、ストレッサーに直面している状況でそれを考えないというのはなかなか高難易度かと思います。

 

2 問題をどう認識するのか、どう取り組むのか

2-1 認識の仕方

私たちは同じ事象が起こっても、「大変だ」と思う人もいれば「大したことない」と思う人もいます。その認知がゆがんでしまっている場合、ストレスを溜めやすく幸福度にも悪い影響があることがわかっています。下記のような認知の仕方をして過度なストレスを溜めないようにしましょう。自分でどうにもならない場合、病院で治す方法もあります(認知行動療法)。

 

○心身のメカニズムの理解

ストレス理論などを理解すると、それまで「自己コントロールできない」と思い込んでいたストレス反応が「自然な反応であり、対処可能であること」へと認知が変化します。このパラダイムの提示により、ストレッサーに対する認知的評価が変化し、ストレッサーの脅威が低減します。

 

○自分の物事の捉え方の歪を点検する

人間の思考は、いつも合理的な判断をしているわけではなく、物事の捉え方に偏りや歪があります。この偏りや歪を点検し、より適切な思考に改善していくことで、ストレッサーの影響を軽減することができます。物事の捉え方には、次のような歪があることが多いようです。

 

*破局的な見方

いつも最悪の事態を考えてしまい、ちょっとした困難から、大きな破局や不幸な結末を想像してしまう。

 

*全か無かの思考

「成功か失敗か」「白か黒か」の二者択一的な考え方。少しでも満たされないことがあると、全てを否定したり、投げ出したくなる。あいまいな状況や中間の状況を受け入れられないので、常に極端な考えになる。

 

*過度の一般化

一つの出来事や経験から、過度に一般化してしまい、「一事が万事」のように考える。「結局、~だ」と一つの解釈に全ての出来事を決めつける。

 

*感情的判断

自分の感情や気持ちから、その出来事や事実の是非・意味を判断すること。「不安が起きているから、この問題は解決できない」「嫌な感じがするので、相手は悪い人に違いない」など。ストレッサーに遭遇した場合、防御反応として、不安や恐怖、緊張の感情が起きる。これは自然な感情であるが、このような感情が起きているので、現実のストレッサーは対処不可能なものに違いないと思い込む。

 

*自己関係づけ

自分とは関係のない出来事や事実を自分に責任があるように判断すること。「私がなになにしていれば、なになにとならなかったのに…」と自責する場合など。子供は、自己関係づけをする傾向がある。

 

*思いつきによる推論――

思いつき、場当たりの考え、独断など、事実に基づかない判断や推論によって、物事を決め付けてしまうこと。ストレス状態にある場合は、1物事の捉え方に歪や偏りがないか一緒に点検し、2歪や偏りがあれば、適切な考え方を検討する。3適切な考え方に従って行動することで、次第に適切な物事の捉え方を身につけることができる。

 

○肯定的、楽観的な思考をする

*困難な状況では、否定的な側面に着目しがちになる。「肯定的な面はないのだろうか」「うまくいっていることは何か」「活用できるリソースはどれがあるか」、物事を肯定的に捉え、原因ではなく、問題解決に意識を向けることが大切。

 

*「なるようになるさ」「じたばたしてもしかたがない」などの開き直る気持ちや腹をくくる気持ちは、困難な事態に直面しようという決断である。「もうだめだ」「絶望だ」「やっても無駄だ」という、投げやり、悲観的、絶望的判断とは異なる。最悪の状態を想定し、その結果を受け入れることができるなら、今の現実を肯定的に受け止めることができる。

 

○将来の肯定的な希望・夢・目標を持つ

肯定的な人生の希望・夢・目標を持つと、現在の困難な状況や試練を乗りきる力が生まれます。現在の困難な状況が将来にわたって改善しないと考えてしまうならば、困難な状況を逃げ出すしかありません。自殺したり、自分の人生を粗末に扱う気持ちになる時は、肯定的な人生の希望・夢・目標を描けていないときでしょう。将来の肯定的な希望・夢・目標が持てるよう周囲から援助することが大切です。

2-2 対処スキルの獲得

例えば、知識不足で特定の仕事がうまくいかずストレスが溜まる場合、そのままなんとか業務をこなしても後でまた同様の仕事が発生した場合同じストレスに直面します。一度足りない知識を把握し、勉強して身につけることで今後その仕事が来てもストレス無くこなすことが出来るでしょう。

このように、自分のスキルを獲得してストレスがかからないようにするのも前向きで有効な対策です。

2-3 自己コントロール力の回復

ショック状態やストレス状態では、行動や感情の「自己コントロール力」が失われてしまい、それまでにできていた日常生活の作業ができなくなることがあります。このような場合、行動や感情の自己コントロール力を取り戻す必要があり、まず、日常生活を自分の力で行うことが回復へのステップとなります。それまでの日常生活を取り戻すことは、自己コントロール力を取り戻し、ストレッサーに対する対処可能感を高めるようです。

2-4 自己,他者信頼

人間の感情や意欲に関わる基本的要因として、「自己に対する信頼感」「他者に対する信頼感」があります。困難な状況に対処できない時、「自己に対する信頼感」「他者に対する信頼感」も低下しています。 適切な援助や励ましがあれば、この「自己に対する信頼感」「他者に対する信頼感」は回復しますが、現実には必要な援助や励ましが得られないことが多く、「自己に対する信頼感」「他者に対する信頼感」は低下したままのことが多いです。 人間は、人に守られ、受容されている時に安心でき、自分を受け入れることができます。また、自分を励ます自己教示「アファーメション」も「自己に対する信頼感」を高める働きがあります。

2-5 ソーシャルサポート

一人の力では対処できないことでも、援助してくれる人がいる場合、問題を解決したり、気持ちを前向きに頑張ることができます。話をすること、気持ちを表現することは、ストレスを解消する重要な方法です。そのためには、話を聴いて、気持ちを受け止めてくれる人の存在が必要です。 また、人は、「仲間に受け入れられている」「人から守られていることが実感できる」時に安心を得ることができます。逆に、孤独でいることは、大きなストレッサーとなります。ストレス状態にある人や子供が孤立無援な状態にならないよう、温かな関わりを行うことが重要です。また、当事者は、問題を一人で抱え込まないで、いろいろな人に相談して、より良い解決方法を見つけることが大切です。

3 自分の心のケアをどうするのか

ストレッサーへ直接的に向き合っていてもすべてが解決できるわけではありません。また、自分が認識している大きなストレスから、認識していないレベルの細かいストレスまでいろんなストレスを受けて私達は生活しています。ストレッサーを考えるのではなく、リラックスやリフレッシュ、ストレス耐性を上げるなど、自分がストレスに強くなること、ストレスを自分で解消出来ることも重要になります。

 

3-1 リラックス

リラクゼーション

リラクゼーション法にはいくつも種類がありますが、中でも「漸進的筋弛緩法」は最も広く用いられているリラクセーション技法です。漸進的筋弛緩法は筋肉の完全な弛緩を誘導するために、各部位の筋肉を数秒間緊張させた後に弛緩することを繰り返していくものです。

漸進的筋弛緩法の実施によって、ストレスにより分泌量が増えるコルチゾール」の唾液中の濃度が減少することが明らかとされています。

 

近藤由香,1987~2013年における国内の漸進的筋弛緩法に関する看護文献レビュー

 

アロマテラピー、飲食

アロマテラピーによる嗅覚への働きかけによってストレス値の低減効果があることがわかっています。

ストレスのかかる計算作業を何も無い場合と各種香りのアロマテラピーをしながら作業した場合のその後のストレス値を計測しました。

その結果、グレープフルーツオレンジコーヒーの3種類でストレス低減効果が確認されました。特にコーヒーの香りは低減効果が大きく、作業前よりリラックスしています。

各化学刺激によるストレス低減効果(縦軸が高いほど高ストレス)

 

仕事の合間やリラックスタイムに香り高いホットコーヒーを飲んでストレス値を下げましょう。

また、この図の左側に飲食物の効果も載っていますが、香りによる効果よりは少ないものの統計的に優位にストレス低減効果があったのはコーラのみでした。コーラは相当な量の砂糖が含まれていますので、たまに飲むくらいにしましょうね。

 

瞑想

大学生を対象とした研究で、歩行、咀嚼、呼吸のそれぞれにのみ集中する「マインドフルネス瞑想訓練」を実施したところ、瞑想後に優位に気分が快適な方向に変化することが認められました。

瞑想による気分への効果(上が快、下が不快)

谷口弘一、集団マインドフルネス瞑想訓練のストレス低減効果

深呼吸

3-2 リフレッシュ

運動

大学生を対象にした研究で運動習慣がある学生は、運動習慣の無い学生に比べ優位にストレス値が低いことがわかっています。それに加え、ストレス対処の傾向として、ストレスに対し問題解決行動を多く取る傾向が確認されました。

継続的な運動習慣によってストレスを根本から解決する活力が上がり、ストレスが溜まりにくくなるということなのかもしれませんね。

ストレスと運動習慣



良質な睡眠

睡眠の量と睡眠の質、睡眠薬の使用量減少が各健康へ与える影響を調べた論文では、次の図のような結果が得られました。

グラフが高いほど、影響力が大きいのですが、

メンタルへの評価(GHQ12,MCS)では、睡眠の質がダントツで、次いで睡眠薬使用量の減少、睡眠の量の順番で影響度が大きい結果となりました。

睡眠の質(濃灰色) 睡眠の量(薄灰色) 睡眠薬の使用量減少(黒色)

Nicole K Y Tang,Changes in Sleep Duration, Quality, and Medication Use Are Prospectively Associated With Health and Well-being: Analysis of the UK Household Longitudinal Study,

笑う

「笑い」には抑うつの抑制ストレス低減否定感情スコアの改善など様々な精神的にポジティブな影響があることがわかっています。

笑いの精神への効果

精神的につらい時には自分が笑えるような映像を見たり、行動を起こすことが良いですね。

 

趣味

私達の人生を豊かにする趣味ですが、ストレスにも関係があることがわかっています。特に期待度の高いワクワク出来る趣味を持つ人は、その他の人に比べストレス値が優位に低いことが示されています。

ストレス解消の意味でも楽しい趣味を持つことは大事です。

趣味への期待度とストレスの関係



栄養素

ストレス値の高い人と低い人で摂取している栄養素の量を比較した論文では、カルシウム乳類ヨーグルトの摂取量が多い人がストレス値が低いことが明らかとなりました。

各食品の摂取量とストレス値の関係

 

また、別の研究ではDHA、EPA、アラキドン酸の摂取により、ストレスホルモンである「コルチゾール」の毛髪中濃度が正の相関となる結果でした。

㓛刀 浩、気分障害におけるストレス要因を規定する栄養・腸内環境の解明

3-3 ストレス耐性

栄養素

栄養素にはストレス低減効果があるものもあれば、ここで紹介するように、ストレス対処で消費される栄養素のように、「しっかり摂取することでストレス耐性を上げる」ものも存在します。

糖質

ストレス反応には脳─神経系が 深く関与していますが、脳と神経系は糖質のみをエネルギー源とします。

アミノ酸

たんぱく質の構成成分であるアミノ酸は、 アドレナリン、セロトニン、ギャバなどの神経伝達物質の原料になります。これらの神経伝達物質は、ストレスと闘うやる気を起こしたり、感情を制御して精神を安定させたりする作用を持つもので、ストレスから身を守るために重要です。特にセロトニンは他の神経伝達物質とは異なり、必須アミノ酸であるトリプトファンがないと合成されません。トリプトファンは慢性ストレスにさらされると枯渇しやすいため、ストレス負荷時にはトリプトファンを多く含む食品を摂取する 必要があります。

ビタミンB1

過労などにより神経の興奮が高まる際には、ビタミンB1の消費量が増加します。

ビタミンB6

ビタミンB6は神経伝達物質合成の鍵を握るビタミンと呼ばれ、脳の働きに大きな影響を与えています。

カルシウム

カルシウムには脳神経細胞の興奮を抑制する働きがあり、欠乏すると病的な興奮状態が起きてしまいます。

 

ストレス負荷時の食事摂取量の変化と 必要な栄養素 ─被災者への栄養・食生活支援のために─

 

最後に

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※本記事の考察は認識違いがある可能性があります。詳細を把握したい人は下記文献を参照ください。

 

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